12月9日 (金)  丹沢フォーラム。

ホントは1208を書こうと思ったけど、ものには順序。まずは忘れた日記から。

11月24日の初雪。「あの雪」はナンだったの?。・・と言いたくなるような暖かな一日。
12月3日、東丹沢・札掛「一ノ沢考証林」で、丹沢フォーラムが開催されました。
丹沢が抱える問題や課題などを考えるため、年2回開催しています。

今回は、札掛より1,5`下流域に広がる、モミ自然林での開催でした。
この森は、72年前の日米戦争の敗戦前夜、軍需物資として神奈川の各地で、森が伐採されました。全国でも有数な信仰の森、大雄山の杉も例外ではありませんでした。
その中で、この森は、唯一残された森です。
「お国のために切れ。」と命令する軍部に対し、「神奈川の未来のために」と、当時の若手林務部職員が文字通り、命を懸けて軍命に抗い、守り抜いた森です。
昔の役人は気骨がありましたね。その方は、戦後、後に林務課長になりました。

ところが、同じ神奈川県林務課が、20年ほど前、その森に、突然、道路開設の計画を立てました。
道路開設に反対する私達に、神奈川県の技術職幹部が「あんな素晴らしい森を、登山者だけに利用させるのはもったいない。万人に利用してもらう事が必要だ・・。」と、70年代前後、、自然を売り物にしながら、自然環境を蹴散らした観光開発業者のような建設理由を述べたのです。
時間の経過といえ、同じ立場の役人が、先輩の意思を引き継いでいない事に愕然としたものです。

私達は道路建設の協議以前の問題として計画に反対。
神奈川県と交渉を重ねることで、中止になりました。
いま、そこは、自然環境に関心を持つ多くの人達が、自然の森の生い立ちを学ぶ貴重な森になっています。

一ノ沢考証林は、全体面積39haと小さな森ですが、低標高に位置する温帯針葉樹の代表ともいえるモミ自然林は、多様性を考える上で、高標高域のブナ林以上に、貴重な存在と言えます。出来るなら、この森を囲むように広葉樹の森が広がれば、野生動物の生息環境は基より、森が持つ様々な機能が一層高まるものと考えます。
なにより、この森が位置する場所は、宮ケ瀬ダム水源の源流部です。

神奈川県には、多様性プラス、水源としても、森の再生を考えて欲しいと思いました。
それは、72年前、この森を私達に残しくれた人への思いを引き継ぐ事に繋がります。
本当なら、私達が考える必要がない程に、神奈川県が積極的に取り組む事柄です。
暖かな初冬の一日、保全センター職員の解説を聞きながら楽しい森の散策でした。
今回のフォーラムも若い子の参加が多く、参加者の約半数が現役学生。
半分お世辞でも、丹沢の将来に期待が持てそうだ。

20161209-1.jpg 20161209-2.jpg 20161209-3.jpg