戻る


森の学校・春の教室 2011年3月28日〜29日

講師
 長澤 展子・村上 美奈子・柳川 美保子・中村 道也
スタッフ
 柳澤 美果子・角田 優香・博樹(優香のあかちゃん)・星野 聖人・木村 聖・原島 高
 高瀬 一樹 (10人+おまけ)

 東北大震災の影響で、小田急電車の大幅なダイヤ変更があり、森の学校の開催も危ぶまれましたが、電車の運行が平常になり、 予程どおり、春の教室が行われました。
冬に逆戻りしたような寒さでしたが、子供達は元気いっぱいでした。
 当初の計画では、三ノ塔に登り、協会が活動する「広葉樹植裁地」を見学、森林再生の意味や目的を学習する予定でしたが、 前日まで毎日のように雪が降り、相当な積雪が予想され、また、山頂からのコースは登山道から外れ、50年ほど前まで使われていた 「古道」を探しながら歩く事。さらに、東北の震災以降、登山の自粛要請が出ている事などから、教室の目的を変えずに、 コースだけを変更する事にしました。
 一日目は、札掛から金林沢までを歩きながら、自分で見つける「春探し」です。
講師手製のダンボール額縁を通して、稜線の雪を背景にしたフサザクラやダンコウバイ、みんな、それぞれの目線で「春」を見つけました。
金林から林道終点までは、植生保護柵や治山堰堤の学習をしました。
植生保護柵や治山堰堤は、これまでにも何回か学習をしていますが、境沢林道周辺には、違った目的を持つ柵が複数設置され、ことに、堰堤は、 普通のコンクリート製から鉄製スリットや、大昔の石積堰堤など、形態も様々です。
堰堤ごとに事業の目的や、生物の関わりなどを学習しました。
途中から「お腹が減った、ハラすいた・・」の、要望?が多くなり、林道終点手前の川原でお弁当を食べました。
ご飯が終わると、日陰に残った雪で遊んだり、水をかけあったりしています。
「このままでは水の中に入る子供が出てくる・・」と心配し、お昼休みを早めに切り上げ、午後の学習に入りました。
一週間前の下見の時は、作業路入り口でカモシカを見ましたが、今日は大勢のためか、見る事が出来ませんでした。
林道終点からは道幅の広い作業路になります。この作業路周辺は、人工林の間伐や枝打で、森林が明るくなっています。
また、森林を守るために様々な取り組みが行われて、学習教材は豊富です。
押出沢の手前の尾根を回ったところで、「100キロ級」の大きなイノシシを2頭見ました。
ドドッ!と足音を響かせて森の中へ逃げていきました。
最初の班は全員見る事ができましたが、後ろの班は見られませんでした(残念!)。
イノシシは、シカと同じように、どちらかと言えば山麓地域に棲む動物です。こんな山の中で何を食べているのでしょう・・。
ここから林道まで、昔の経路を沢に沿って降ります。
私が若い頃、毎日のように、シカやクマ、それにクマタカを撮影したコースです。
360度の観察が出来た小尾根も広葉樹に埋もれ、森が大きく成長した事に驚きました。
人の利用が少なくなったためか、ただでさえ細い道が途中で大きく崩れ、スタッフが転落防止用に横に並び、無事に通過できました。
 人工林と広葉樹林が、きれいなモザイク模様をしています。
でも、その風景は、見た目の景観だけでなく、山を押さえる力、水を蓄える機能の他に、野生動物の棲息にも良好な環境と学習しました。
少し、疲れたけど、楽しい一日でした。
 二日目は、ミツマタを利用した和紙づくり(紙漉き)をしました。
一昨年の春に行いましたが、今回は初めて体験する生徒が多く、予定時間を大幅に超えてしまいましたが、全員、なかなかの出来栄えでした。
葉書サイズを一人で5枚も漉いた生徒がいました(お母さんへのおみやげかな?)。
春の教室ではテレビ取材の予定がありましたが、東北大震災で中止になりました。
チョッピリ残念ですが仕方ありません。また、夏の教室で取材するそうです。
ところで、森の学校では、3年を目処に、春・夏・冬の教室に複数回参加する生徒に修了証を授与しています。
季節の中で、森や動物や、様々な自然環境を学びます。しかし、一番大切な事は、自然に対する「やさしさ」です。今回は4人の生徒が該当しました。

元気と笑顔がいっぱいの春の教室でした。(道)

集合写真・境沢林道入口


朝のうちは雪景色。杉や桧の人工林と、広葉樹自然林のモザイク模様がきれいです


林道入口で、林道の目的や利用の説明を聞きました。


小さな沢の小さな堰堤。最近は水の中の生き物に配慮した高さの低い堰堤を多く見ます。


大きな沢のスリット堰堤。災害防止の役割と、生き物との共存を考えた堰堤です。


人間がつくった森の中には、森を守るために様々な工作物があります。
工作物の目的や効果を、3グループに分かれ、講師の話を聞きながら自分で考えます。


ちゃんと考えないと、途中で発表があります。
土の流れを押さえる。落石を止める。などなど。
小さな沢で、「ふとんかご!」と、専門用語を使った小学生がいました。


一週間前に下見で歩いた時は「カモシカ」を見ましたが、今日は出てこないナ〜。


・・と、思っていたら、「でかい!イノシシだ!」。


大きなイノシシが2頭、みんなに驚いて一目散に山の中へ逃げて行きました。


山を歩いて、沢を渡って、崩れた道もナントカ歩きました。
あ〜疲れた。あ〜腹へった。



一日目の終わりは、村上先生制作の額縁を使った「春さがし」です。
「う〜ん、けっこう難しい。フサザクラの芽吹きと、山の雪かナ〜」。


二日目は、ミツマタを利用した「和紙づくり」です。


綺麗な花が咲いて少しかわいそうな気持ちもありますが、年長者が手ごろな太さのミツマタを切ります。


2年前の経験者も多く、手際がいいです。


細かく切って、煮て、皮を剥いて・・と、もうすぐ出来ちゃうぞ。


へっへー・・出来たもんね・・。僕は5枚つくるんだ。
さすがに大人、イロハの紅葉を挟み込み、チョッとオシャレです。


いつも参加する子も、初めての子も、楽しい二日間でした。